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モチベーションを向上させるキーワード その1


人事考課









モチベーションと人事考課


人事考課 とは評価制度の中心に位置づけられるもので、印象や主観に基づく人の評価を排して、組織における社員の勤務実績、能力、人物的資質などを組織的、秩序的、客観的に把握、評価する制度です

人事考課は社員や組織のモチベーションに大きな影響を与えます。モチベーションを向上させる人事考課とは、次の要件を満たしていることです


では、順に見ていきましょう





公正であること

モチベーションの向上のためには、人事考課が適正に機能していることが重要です。なぜなら、社員は誰でも自分の仕事や成果が正しく評価されることを望んでいるからです

ホワイトカラーのモチベーションは、次の3つの要素から成り立っている、と言われています

  1. 公正な経済性
  2. 自律的な人間関係
  3. 成長と自己実現


1.の経済性とは、給料、賞与、昇進・昇格といった処遇のことです。これが公正(フェア)かどうかはモチベーションに大きな影響を与えます。そして、この公正な経済性をもたらすのが人事考課です

公正な経済性というと、成果に対してお金で応えること、結果を出した人に報酬で応えることだ、と考えてしまいます。果たしてそれだけでしょうか

お金の不公平感は不満を生みますが、仮にそれを公正にしても満足感は高まりません。10万円儲かったら20万欲しくなる、20万手に入ったら30万欲しくなります。そして、この間に他人がもっと稼いでいると、自分は損をしたと思ってしまう、これが人間です

給料や賞与が公正に決定される仕組みになると、ある程度不満は解消されますが、それが満足感に繋がりません。「不満がなくなること=満足」 とはならないのです。これは「モチベーションとは」 のページで紹介しているハーズバーグの論文でも明らかにされています

お金という報酬で応える以外に、非金銭的な報酬で応えるという 「心理的な報酬の公正さ」 の充実も必要です。非金銭的報酬の例としては次のようなものがあります

  • やりたい仕事・プロジェクトに就けること
  • 希望する部門への異動
  • 希望する教育・研修の受講
  • 自由な労働時間の使い方の設定
  • 豊富な表彰制度
  • 特別休暇・特別予算の付与
 非金銭報酬の充実度チェックシート(PDF)




金銭的報酬だけで社員のやる気を刺激しようとしても限界があります。お金だけで社員のやる気が出るなら、経営は楽でしょう。歩合給やインセンティブを導入すれば問題は解決します。しかし、歩合給やインセンティブを導入している会社・業界ほど離職率が高いのが現実です

成果主義の行き詰まりが各方面から指摘されていますが、行き詰まっているのは成果主義的な賃金制度に頼った経営ではないでしょうか。経済的に豊かになった現在の日本では、給料が1割〜2割上がるからという理由で目の色を変えて働く人は少ないのです






自社にふさわしい考課要素

人事考課の種類としては以下のものがあります
  1. 能力考課
  2. 情意考課
  3. 業績考課
  4. コンピテンシー
それぞれの詳しい内容と考課要素は別ページで解説していますので、興味のある方はご覧ください

人事考課の種類と考課要素について



人事考課の考課要素の中から自社の経営理念に沿い、ビジョンやミッション、経営戦略を達成するのにふさわしいものを選び、それらを組み合わせることで人事考課の基本的な枠組みが出来上がります

どのような考課要素の組み合わせがベストなのか、その答えはありません。人事考課は経営を支援する仕組みですから、経営理念や事業運営方針が違えば考課要素も変わってきます

また、メディアやコンサルタントは営業上の必要性から、常に最新または流行の人事考課を宣伝し、導入を働きかけてきますが、そうした制度が自社にとって最適なものとは限りません

それよりも人事考課という制度を定期的にメンテナンスできる人材を養成することが大切です。人事考課は経営を支援するものですから、経営環境の変化に応じて常に変更・修正・見直しが必要になります

自分の会社のことを一番よく知っているのは自社の社員ですから、社内の人材で制度の定期的な見直しをするのが一番よい方法です。そうした人がいないと、いつも他人任せ、コンサルタントへの丸投げとなり、費用がかかるわりにあまり効果のない結果が続くことになります




自社に適した運用とウェートづけ

人事考課の運用

では、この能力考課、情意考課、業績考課はどのように組み合わされ、運用されるのでしょう

一般的に管理職と管理職以外では人事考課に大きな違いがあります。管理職は業績考課に大きなウェートをおいて評価されます

管理職の評価の中心は結果であり、途中のプロセスや意欲などはあまり評価の対象とされません。プロスポーツ選手に近いものがあり、このため管理職には年俸制を採用する企業もあります

企業によっては、管理職は業績評価しか用いないというところもありますが、まだ少数派でしょう。大半の企業では、管理職にも能力考課や情意考課を行っています。そのため、能力考課が年齢給の代替となり、実質的に年功序列賃金制度が維持されているという会社も数多くあります

一方、管理職以外では、下位に位置する社員ほど能力考課と情意考課を中心に据え、業績考課は用いられません。下位等級の社員は自らの判断で仕事を進めることよりも、上司の指示で仕事を進めることが多く、そうした社員に業績を問うのは適切ではない、というのがその理由です

管理職以外でも上位の資格等級者は、業績考課と能力考課が中心となり、情意考課のウェートは低くなります。管理職を補佐する立場であり、業績にも一定の割合で責任を負ってもらおう、とされるためです

また、賃金と賞与にわけて、考課要素を使い分けるケースもあります。その場合、昇給については能力考課や情意考課を用い、賞与については業績考課が用いるのが一般的です。こうした場合の業績考課として 目標管理制度 が用いられることもあります

短期的な業績の善し悪しは「賞与」 に反映させ、社員の生活基盤であり、固定的な人件費負担増となる「賃金」 については、慎重に配慮しようという姿勢です

このように賃金は生活基盤の維持のために、そして成果には賞与で応える、という傾向が強くなっています。企業経営の先行きが不透明であり、賃金は労働基準法による法的規制を受けるため、企業は賃金の上昇に対して、より慎重な姿勢で臨まざるを得なくなっています


実際のウェートづけの例

考課要素のウェートづけのサンプルを業績考課と能力考課を使って示してみます

最初に、業績考課と能力考課のウェート(割合)を決めます。この例では、業績考課を60%、能力考課は40%としています (ウェートb)。 かなり業績重視のウェートづけです。目標や考課要素の点数は10点満点で評価されています

考課種類

項目

点数

ウェートa

点数×a

小計

ウェートb

小計×b

総計

業績考課

目標@

70%

4.9

6.4

60%

3.84

6.00

目標A

30%

1.5

能力考課

考課要素@

50%

2.0

5.4

40%

2.16

考課要素A

30%

1.8

考課要素B

20%

1.6


次に業績考課の目標@とAのウェート付けをします。ここでは目標@が70%、目標Aは30%の設定です (ウェートa)。そして、能力考課の考課要素@ABは、それぞれ50%、30%、20%の割合となっています (ウェートa)

このようにして点数に考課要素ごとのウェートを掛け、さらに考課の種類ごとのウェートを掛け、それらを最終的に合計することで、最終的な評価とします。この人の場合、この期における人事考課の結果は総計の6.00として扱われます

これはあくまで一例です。どの部門の、どんなレベルの社員に、どういった考課要素を選び、ウェート配分するかは、経営環境や自社が何を最も重視するかによって左右されます


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考課要素の定義づけ

人事考課の目的の一つは社員の評価にあります。評価を下し、それをもとに給料や賞与を決定したり、昇給・昇格などの処遇に結びつけます

評価制度には
  • 妥当性
  • 信頼性
  • 客観性
  • 納得性
  • 公平性

が求められます

人事考課が制度として導入されていないと、評価する基準、モノサシがありません。このため役員、管理職による評価がこれら5つの要素を欠く恐れがあります。人事考課制度を定期的にメンテナンスしていない場合も同様です

人事考課制度がないと、評価される社員からは、えこひいきがある、好き嫌いで評価されている、印象や見た目だけで評価された、といった不満が生じます。これがモチベーションを下げてしまいます

厚生労働省の調査によると、人事考課制度の導入割合は、
1000人以上の企業では、83%
300人以上〜1000人未満の企業では、70%
100人以上〜300人未満の企業では、56%
30人以上〜100人未満の企業では、38%
となっています
(平成22年度・就労条件総合調査)


社員数が100人ぐらいまでなら、経営者は社員すべての社員の顔と名前を記憶することができます。そのため一人ですべての社員の人事考課を行うことはできるでしょう。この規模くらいまでなら、評価制度がなくても、経営者が 「人事考課表はオレの頭にある」、と言えば十分かもしれません

ただしこの場合、経営者は常日頃から自分の評価基準の中身を社員に伝えなくてはなりません。トップの評価のモノサシの内容を社員に語って聞かせることが必要です。これが、モチベーションを向上させる人事考課で必要とされる 考課要素の定義づけ です

たとえば、「革新性」 を評価すると言っても、革新性の定義がなされていないと、管理職や社員はその深い意味や具体的な内容がわかりません。自分では十分に革新性がある、と思っていた社員が、革新性に乏しい、と評価され不満を募らせる、こんなケースはよくあります

人事考課が適正に機能するためには、考課要素の言葉の意味が定義づけられ、それが管理職や社員の間に浸透し、共有されていることが必要です

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フィードバックがあること

人事考課は評価・処遇制度であると同時に、社員の能力開発を進め、人材を育成するという仕組みでもあります。こう書くと、「なぜ人事考課で能力開発や人材育成ができるのか?」 という質問が寄せられることがあります

人事考課は結果に基づいて評価をするものです。評価という結果には必ず原因があり、その原因をフィードバックを通じて部下に理解、認識させることが能力開発・人材育成につながります

被考課者(=部下)は、フィードバックを受けることで、次のような点を理解、認識することができます
  • 評価された判断や行動
  • 自らの強み、持ち味、長所
  • あまり評価されなかった点
  • 自らの弱み、苦手とする点、短所
  • 改善が必要な職務行動、役割意識
  • 今後、必要となる知識や経験、スキル


人事考課だけで能力開発につながるのではなく、その後のフィードバックとセットになる事が能力開発と人材育成につながるのです。能力が開発され、成長実感が得られることで社員のモチベーションが向上します

残念ながら、多くの中小企業では、このフィードバックが行われていません。
その理由としては

  • 人事考課の中身を知らせたくない
  • 評価の結果について質問されると答えられない
  • 上司と部下の人間関係が悪くなる
  • マイナスの評価を見せると、やる気をなくすのが心配
などが考えられます


その結果、人事考課が単に社員間で優劣をつけるだけの機能しか果たしていないのです。これでは、能力開発が進まず、人材育成にもつながりません

通常、フィードバックは職能面接という形で行われます。当事務所では、この職能面接を効果的に実施するための「人事面接マニュアル」 を無料ツールとして提供しています















オープン化されていること

フィードバックを行うためには人事考課のオープン化が避けて通れません。考課要素、考課に際しての着眼点、実際につけた考課点などの情報開示をすすめるべきです

人事考課のオープン化が進まないのは
  1. オープンにすると社員が考課要素だけを意識して仕事を進めるようになる
  2. 人事考課にプラスにならない業務はないがしろにされる
  3. 自社の人事考課の曖昧さ、杜撰さが明らかになってしまう
  4. 経営者の賃金・賞与決定における裁量の余地がなくなってしまう

といった理由が考えられます

人事考課のオープン化は企業が社員に期待する指標を明らかにします。わが社では社員に何を求め、どんな行動を重視し、どのような人材に成長することを目指して欲しいのか、それら明示することで、社員は自らに課せられている職責や役割を理解することができます

期待の背後には信頼がなければいけません。ここから期待に応えようとする動機が生じ、モチベーション向上につながるのです。信頼のない期待はノルマです

完璧な人事考課はありえませんから、オープン化によるデメリットを恐れて、メリットを失うことは改めるべきでしょう

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人事考課の限界


人材アセスメントの提案

人事考課には、完璧なものはないという事実に加えて、次のような限界もあります

  1. 過去の結果に基づいた評価であり、将来の成果を保証するものではない
  2. 会社が決めた考課要素だけによる評価であり、それ以外については考慮されない
  3. 職務・部署の違いによる評価基準の設定・調整が十分にできない
  4. 上司・評価者による評価誤差が避けられない


こうした人事考課の抱える問題に対し、オフィス ジャスト アイでは 社員特性分析 という 人材アセスメント を行っています

社員自らが、あらかじめ用意した質問シートに回答することで、行動、言動、態度などを評価・分析し、そこから、「行動の予測」「能力の可能性」 「行動様式・思考パターン」 「態度・価値観・やる気」 などを明らかにします。人材アセスメントは、人事考課だけではわからない社員の能力や潜在的な可能性を、広い視点から客観的に捉えることができます

人事考課と人材アセスメントの違いを比較してみると次のようになります




これまでは、企業が望む将来の人材のあるべき姿はある程度予測することができました。人材の成長は連続した過程を辿り、5年先、10年先にはこんな人材に成長してもらいたい、そんな将来像を描くことが可能でした

しかし、現在は企業を取り巻く環境変化が激しく、経営戦略や事業分野が大きく転換することが珍しくありません。その歳、どういった人材が活躍するのか、これが人事考課ではわかりません。人事考課は過去の成果を基に評価する仕組みのためです。また将来、どのような人材が企業に貢献し、必要になるのかを事前に予測して育成することが困難になっています

こうした状況のため、人材の可能性を総合的に評価する人材アセスメントの必要性が高まっているのです

  社員特性分析の詳細はこちら





組織診断の提案

人事考課が期待したほど効果が上がらない理由としては、制度の仕組みや運用の問題よりも、人事考課が適切に機能する環境や土壌が整っていない場合があります

制度の導入・見直しにあたっては、会社の現状を総合的に把握することも重要です。人事考課の働きを阻害する問題を放置したまま、人事考課という制度だけを整えても、企業が目指す目標は達成できません

そこで当事務所では、企業・部門の現状と問題点を明らかにする 組織診断 を行っています。この組織診断では、組織風土、人間関係、職務遂行、組織構造、企業評価の面から、組織と社員の関係を明らかにします

明らかになった問題点は、組織全体に関わるものなのか、個別の部門に特有なものなのか、あるいは社員個人に帰するものなのか、といった問題の所在もつかむことができます

組織診断の詳細はこちら

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オフィス ジャスト アイ では、この他にも社員のモチベーションを向上させ、人材の価値を高めるための各種アセスメントを行っています




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