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モチベーションを向上させるキーワード その2

管理職




目次




管理職の役割とは

管理職に求められる 役割 としては、「部門目標の達成」 と 「部下・後輩の育成」 が挙げられます。そのために求められるのが マネジメント です。マネジメントとは、戦略を策定し、組織を統制し、部下を育成し、職場環境・組織風土を整備し、日常業務を監督することです

具体的には、経営理念・経営方針を理解し、自ら率いる部門の方針を決定します。経営トップから示された課題に取り組むだけでなく、自主的に自らの役割を広げ、深めることが求められます

そして担当部門の目標設定、計画の立案・展開を行います。部下や社内・社外の関係者を巻き込み、折衝・調整を繰返し、業務を統率し、コミュニケーションを円滑にし、進捗状況を把握します

リスク管理に留意しつつ、指導・助言を行い、業務のプロセスを適時見直し、目標達成を目指します。業務が終了すれば、結果を検証し、改善すべき点を捉え、関係者にフィードバックを行います。こうした一連のプロセスを通じて部下を指導し、その能力開発を図り、さらなる成長を促します

これら一連の行動は、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act) の頭文字をとって、 PDCAサイクル とよばれています

PDCA CYCLE


「部門目標の達成」 「部下・後輩の育成」 という役割のいずれにも関係するのが、いかにして管理職のモチベーションを向上させ、その部下や組織のモチベーションを高めるか、という課題です。管理職はモチベーション・リーダー、モチベーション・マネージャーとしての役割が期待されています

しかし、多くの企業で管理職はこうした期待に応えられない現実に直面しています。その原因は企業の内部と外部に、それぞれあります

【内部要因】

@時間的・心理的な余裕がない
現在の管理職は部門の目標に責任を負うだけでなく、プレイング・マネージャーとしての役割も期待されています。このため、多忙を極め、部下や組織のモチベーションに気を配る時間的・心理的な余裕がありません

Aインセンティブがない
部下のモチベーションを高め、人材を育成することに対してインセンティブ、見返りがありません。人事評価では目標管理制度により短期の結果が重視されるため、人材を育成するような成果を測定することが難しく、時間がかかる課題は後回しにされています

Bノウハウと経験の不足
どうやれば組織や部下のモチベーションを向上させられるのか、知識やスキル、ノウハウが不足しています。また、長期に渡って新卒採用を抑制してきた結果、後輩を持たないまま昇進して管理職になった人もおり、部下を指導・育成する経験が不足しています

特に中小企業では人事異動があまりないため、さまざまな上司の元で仕事をするという機会に恵まれません。そのため、多様なマネジメントに接することが少なく、自分がどのようなマネジメント・スタイルが適しているのかを体験を通じて学ぶことができません


【外部要因】

経済のソフト化(情報化)、サービス化、グローバル化が進み、企業の提供する製品やサービスには高い付加価値、専門性、効率性、即時性、新規性、多様性、心理的満足度などが求められています

その結果、企業は意思決定のスピードを挙げるため組織をフラット化させ、現場の管理職は経営陣や本社の管理部門が行っていたマネジメントの一部を自らの判断で、自発的に実行することが期待されています。このため管理職には経営者的な視点に立った業務の遂行が求められています

日本能率協会が行った 『企業の経営課題に関する調査 2013年』 では、組織・人事領域で最も重視している課題は 「管理職層のマネジメント能力の向上」 です。この課題は2006年にそれまで1位だった 「賃金・評価・昇進制度の見直し・定着」 という成果主義的課題を抜き、ずっと1位が続いています

組織人事領域で重視する経営課題のグラフ

組織人事で重視する課題の推移のグラフ


これまで管理職は 「中間管理職」 とよばれていたように、経営トップの課題を部署内に伝達する、現場の声を集約して上層部に上げる、部門間の調整を行う、といったように主な業務は 「連絡」 や 「調整」 でした。そのため、現在のように 「マネジメント」 という職務・役割を担うことに十分適応できていないのです

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管理職に求められる能力


では、管理職に求められるマネジメント能力とは具体的にどのようなものなのでしょう

管理職に求められる能力、資質はマネジメント・ディメンション (マネジメントの能力要件・資格要件) とよばれ、さまざまな要因がリストアップされています。その一例は次のようなものです

  1. 対人間関係能力
  2. コミュニケーション能力
  3. 業務処理能力
  4. 個人的資質

これらはさらに以下の要素で構成されます

対人間関係能力の要素としては

  • リーダーシップ
  • チームワーク力
  • 折衝力・説得力
  • 柔軟性
  • 感受性
  • 組織適応力


コミュニケーション能力の要素には

  • 理解力
  • 表現力
  • 傾聴力
  • 文章表現力
  • プレゼンテーション力


業務処理能力の要素には

  • 統制力
  • 人材活用力
  • 課題形成力
  • 分析力
  • 判断力


個人的資質としては

  • 影響力
  • 活動力
  • 自律・統制力
  • リスク管理
  • ストレス耐性力


これら以外にもマネジメント能力・資質を構成する要因は多数あります。マネジメント・ディメンション を参照することで自社の管理職に必要な項目を選び出し、活用することができます


アメリカの経営学者であり、ハーバート大学教授のロバート・カッツ (Robert Katz) はマネジメントに求められるスキルとして次の3つを挙げています

  1. テクニカル・スキル (知識・技術)
  2. ヒューマン・スキル (人間関係力)
  3. コンセプチュアル・スキル (概念形成力)


テクニカル・スキルとは業務を遂行する上で必要となる知識や技術に関するスキルのことです。ヒューマン・スキルとは対人関係で影響力を発揮する際に必要となるスキルです。コンセプチュアル・スキルとは思案作業から具体的な事象を生み出す思考能力に関係するスキルです

カッツによれば下位クラスのマネジメントでは、主としてテクニカルスキルとヒューマンスキルが求められ、上位階層に進むにつれ、コンセプチュアルスキルのウェートが高まるとしています




なお、マネジメントとリーダーシップを区分けしないまま、一緒に扱っているケースが多々あります。マネジメントは複雑な事象や環境に上手く対処することであり、リーダーシップは将来に向け変革を促すことです

リーダーシップについては何かと語られることが多いため、別ページで詳しく解説しています

リーダーシップについて








マネジメント能力の向上を図る


1.研修

多くの経営者や人事担当者は、自社の管理職のマネジメント能力を向上させる必要性や重要性を理解しています。そのため管理職研修が積極的に実施されています。しかし、その多くは一律の階層別研修です

マネジメント・ディメンションやカッツ・モデルで示されているように管理職の能力はさまざまな要因で構成され、個人差があります。階層別の一律研修だけでマネジメント能力を向上させるには限界があります

研修に際しては、対象となる管理職一人ひとりについて、どういったマネジメント能力を伸長・克服・強化すべきかを把握しておく必要があります。その上で個人別に最も必要とされる教育研修を実施することが望まれます

そのためにはマネジメント・ディメンションを用い、自社の管理職に必要な要素を選び、それらについて人事評価と同じように個人別の評価を行う必要があります

当事務所ではマネジメント能力を把握する方法として 個人特性分析 という 人材アセスメント を行っています。個人特性分析ではパーソナリティや潜在的な能力、モチベーションなどからマネジメントに関係する要因を数値化します

個人別の課題を明らかにすることは、次の 「実践を通じた能力の向上」 を図る際にも必要になります


2.実践を通じた能力の向上

マネジメント能力を開発し、向上させるためには教育や研修によって「学ぶ」 だけは十分ではありません。なぜなら、マネジメント能力には学習で身につけられる要素と、学んで身につけることが難しい要素があるからです

業務を遂行していく上で必要な 「テクニカル・スキル」 であるプロセス管理手法やコミュニケーション・スキルは比較的に学ぶことが容易です。しかし、「コンセプチュアル・スキル」 である企画立案力や戦略構築力、一部の性格特性は学ぶことができません

そこで必要になるのが実践を通じた能力の向上です。個人別にマネジメント能力を向上させる課題を明らかにして、それらを目標管理制度の目標に設定します。目標管理制度が導入されていない場合は、個人別の人事評価の対象項目にします

これらは数値化できない定性目標のため、目標を達成するために必要と思われる具体的な行動目標にまで落とし込みます。期末評価では行動目標がどれだけ実行されていたかというプロセスの評価を行います

マネジメント能力向上に必要な課題を目標に設定し、人事評価に反映させることで、実践を通じた能力向上を図ることが可能になります


3.多面評価の実施

人は誰でも自分が有している能力は発揮されていると思っています。しかし、保有能力と発揮能力は異なり、保有している能力が必ずしも発揮されているとは限りません

この違いを把握するのが 多面評価・360度評価 です。これは管理職のマネジメントを上司、部下、同僚など業務上関わりのある人たちが観察評価するものです。そして自己評価と他者評価のギャップや認識のズレを明らかにします

上司、部下、同僚から見て

  • 日頃の自分の判断や行動はどのように受け止められているのか
  • マネジメント能力を構成する各要素において、自分と周囲の人たちとの認識にどの程度の相違があるのか
  • 求められる役割と期待に対して、どの程度応えているのか


被験者となる管理職は多面評価により、現状を客観的に把握することができ、マネジメントスタイルを見直し、能力開発の方向性を明確にすることができます

現在の企業では、上位の資格等級に昇格するにつれ、フィードバックを受ける機会が減っていきます。管理職階層になると自らのマネジメントについてフィードバックを受ける機会がほとんどありません

マネジメント能力を高めるには、まず自分自身が自分のことを知るという 「自己による気づき」 が大切です。多面評価は被験者に 「気づき」 を促す点で研修と同じ効果があります。当事務所ではこの多面評価・360度評価を行っています

 多面評価・360度評価の詳細はこちら
 多面評価を活用している企業の実例はこちら







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その他の環境整備


管理職のマネジメント能力を高め、社員と組織のモチベーションを向上させるその他の施策としては、次のようなものが挙げられます

理想像を示す
自社の理想とする管理職像を明確にします。部署や階層の違いを超えて共通する期待・役割像を明示するわけです。これがなされないと、一人ひとりの管理職が自分の解釈で理想とする行動を追い求め、組織としてのまとまりを欠くことになります


多様な処遇制度
本来、管理職という職位は地位やステータスではなく、マネジメントという仕事・役割のために存在します。それなら、すべての人がマネジメントという職務に適性があるという前提に立ち、全員が管理職を目指すという人事のあり方は不自然です

マネジメントに不向きな人にはプレーヤー、マイスター、プロフェッショナルとして適正に処遇するという多様性のある人事制度が導入されるべきです。経営戦略や直面する課題に応じて管理職を交代させていく、そんな人事のあり方も検討されるべきでしょう


早期の見極め
日本では管理職への昇進年齢が、入社後10年〜15年と諸外国に比べ遅いのが特徴です。管理職へ昇進するまでの間は、ほぼ全員が横並びで昇格するため、マネジメントの実務経験を積む機会が乏しくなります。また中高年になってから専門職への異動を迫られることになり、専門職として必要なスキルの習得・習熟を難しくしています

マネジメントという仕事に対する適性を早期に見極め、早めに将来の方向性を決定することが望まれます。小規模なプロジェクチームによる職務遂行や、やりたい目標がある人が手を挙げるリーダー立候補制を導入すれば、早期にマネジメントに対する適性を判断することができます


権限委譲
プレイングマネージャーである管理職がマネジメント能力の向上を図れない原因の一つは、プレーヤーとしての思考や行動から脱却できないためです。積極的に権限を部下に委譲することで、マネージャーとして行動し、経験を積む時間を捻出させる必要があります

権限を委譲すれば、これまでよりも周囲に与える影響度が大きく、難度や貢献度も高い目標に挑戦できる環境が整い、部下を育成することが重要な役割として浮上してきます



情報交換・共有
管理職同士が互いにマネジメントに関する情報を交換・共有できる仕組みを取り入れます。具体的には自主的な勉強会・研究会の開催、持ち回りによる自らの実践例のプレゼンテーション、人事評価の模擬演習(シュミレーション)など、同一階層の管理職同士が直接顔を合わせる場を創出します


賃金制度
管理職に適用される賃金制度は、仕事や責任の大きさに応じて給料が決まる役割給制度が適しています。職能給では社員という人を人事考課によって評価して給与を決めるのに対し、役割給ではその人が携わっている職務の価値を評価して給与を決めることになります

職能給ではポストというイスに座る人を評価しますが、役割給ではポストというイスの値打ちを評価するわけです。評価が決まったイスに座る人は年齢や性別、勤続年数などを問わず、同じ給与になります。当事務所では中小企業でも使える 役割等級判定表 を無料で提供しています




企業を取り巻く環境は日々変化し続けています。管理職のあり方も変化が求められています。オフィス ジャスト アイ は各種のアセスメントの活用を通じて、企業の人材の価値を高める支援を行っています




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