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教育訓練体系の作り方 HEADLIN

【人材を活かして育てるキーワード ラインアップ】
モチベーション人事評価管理職人材育成

人材育成についてはこちらのページで、詳しく解説しています。


教育訓練体系は、自社の社員教育をどのように行うかを一覧表にまとめたもので、いわば教育訓練全体の設計図、見取り図です。教育訓練体系を構築することで、社員教育を計画的に継続して実行でき、見直しを行う際も、どこをどのように変更すればよいかが一目でわかります。

また、経営陣や従業員に対して、どのような教育研修が予定されているかを明示することで、教育研修についての理解を深め、期待を高めることができます。



教育訓練体系構築の進め方

教育訓練体系を構築する際は、最初に自社の教育訓練の目的を定義します。これは我が社は何のために、何を実現するために教育訓練を行うのかを定めることです。いわば教育訓練の理念を明らかにすることです。

代表的な事例としては、①経営理念で掲げている◯◯◯を実現するため ②従業員の職務遂行能力やマネジメント能力を向上させ、生産性を高めるため ③企業人・社会人を養成するため、といった目的が挙げられます。

この目的を定義する際は、社内における教育訓練の位置づけを確かなものにするため、経営方針を反映させるようにします。中長期の経営計画や事業計画、経営戦略を踏まえ、これらに沿って目的を設定します。

企業は必ず事業構造の転換や製品開発の方向性、商品構成の見直し、サービス拠点・店舗の増設・移転といった、将来に向けて何らかの変化や創出を目指しています。教育訓練はこうした経営の革新や変革を推進し、将来のあるべき姿に適合する人材を養成することを目指すものでなければなりません。

そのため教育研修体系を構築する際は、役員の参加や関与を要請する、あるいは経営陣からの意見聴取を行うようにします。意見聴取では次のような事柄を確認します。

  • 現在の自社の強みと弱みをどのように捉えているか
  • 今後、経営環境の変化により、それらの強みや弱みはどのような影響を受けると思われるか
  • 今後、どの分野に経営資源(ヒト・モノ・カネ))を重点的に投入し、強化を図る予定なのか
  • 付加価値を生み、会社に貢献する部署や領域で求められるのはどのような人材か
  • 人材の育成に関しての基本的な考え方について


このプロセスを怠ったまま教育研修体系を構築すると、経営と人材育成の繋がりが希薄なものになります。その結果、教育訓練の位置づけが曖昧になり、重要性も低下します。そして社員の間では自社の行う教育訓練に対する期待が高まりません。



基本方針を策定する

次に定義した目的を実現するための基本方針を定めます。どのようにして教育訓練を展開し、人材を育成するかというポリシーを定めるわけです。具体的には次のような内容を明確にします。

  • 管理職・監督職階層の人材育成に関する役割や責任 について
  • 人事制度や評価制度との連携の取り方
  • 生涯教育・キャリア開発との繋がりをどうするか
  • 教育訓練におけるOJTとOFF-JTの関係
  • 会社が行う教育訓練と自己啓発との関係



訓練体系を設計する

そして、教育訓練の体系の設計に進みます。
教育訓練の基本体系は、①階層別教育 ②職能別教育 ③課題別教育、という3つで構成されます。

階層別教育とは、企業における特定の組織階層に共通するニーズに対して行われるもので、部門を問わず、同じ役職者、資格等級者、勤続年数の社員を対象に行われます。典型的なものとしては新入社員に行われる新人社員教育や、勤続○年目の中堅社員研修、管理職に昇格時における管理職研修などがあります。

階層の捉え方には、2つの方法があります。
一つは資格等級制度が導入されている場合に、この資格等級を階層と捉えるやり方です。この場合は、資格定義書や資格要件書で定められた資格等級の内容を、階層別教育で目指すべき人材とすることができます。あるいは受講者の現在の資格等級よりも1等級上の資格要件を備えた人材を養成することを階層別教育の目標にします。

資格等級制度が導入されていない、あるいは導入されているが形骸化しているといった場合は、組織における職位や管理区分を階層と捉える手法もあります。例えば、部長、課長、店長といった役職や、管理職、中堅社員、専門職、技能職といった管理区分を階層とします。

職位や管理区分を階層とする場合、教育訓練で養成を図る人材像は、中途採用を行う際に用いる「期待する人物像」(人材スペック)を応用するとよいでしょう。中途採用では採用後の役職やポジション、配属先、求める役割などが決まっています。そのため、どのような人を採用するかという人物像が設定されます。ここで描かれる人物像を基本にして、教育訓練で養成を図る人物像を描くようにするとよいでしょう。


職能別教育とは専門教育ともいわれ、営業部や開発部といったように機能別に区分けされた部署・部門の必要性に応じて行われます。職能別教育はさらに、役職別や資格等級別、勤続年数に応じて内容水準の高・低が設けられます。

また、組織上は同じ部門・部署であっても、顧客層が違う、製品開発のプロセスが異なる、販売形態や供給システムが違うなど、その部門で求められる職能(職務遂行能力)に違いがある場合は、職能別教育も別に行われます。このため職能別教育はそれぞれの会社の業種や業態、経営実態、組織の役割などによって異なり、階層別教育のようにパターン化することはできません。そのため、各社の教育研修に対する取り組み姿勢が反映されたものになります。


課題別教育は現在の経営環境を踏まえつつ、将来、予想される事態に対応できる人材を育成することを目的に行われます。現在最も盛んな課題別教育は海外勤務させる社員向けの研修です。緊急性を要するため最初は課題別教育として導入され、やがてクロバール人材の養成という教育課題になり、階層別・職能別訓練体系に位置づけられるようになります。

課題別教育の内容を明らかにすることは、自社は現在どのような経営課題を抱えているか、将来に向け会社をどのように変革しようとしているのかという経営者のメッセージを、従業員(採用応募者も含む)や取引先、金融機関、株主といった利害関係者(ステークホルダー)に向け発信することでもあります。



最終の仕上げ

教育訓練体系を構成する3本柱を見てきましたが、教育訓練をスポーツトレーニングに例えると、階層別教育は競技種目を問わずスポーツ選手に共通して必要な体力や筋力、心肺機能を強化する基礎トレーニングと言えます。職能別教育は野球やサッカー、ラグビーといった特定の競技で求められるスキルを向上させるトレーニングになります。そして課題別教育は目前の大会やトーナメントに備えた実践的な練習に当たります。

教育訓練体系を構築する際は、自社における階層別教育、職能別教育、課題別教育の位置づけや狙い、特徴を理解した上で、バランスを考慮して配置していきます。

同時に、今から5年~10年後の組織内の人員構成をシミュレーションしてみます。どの部門で何人が定年退職し、どれだけの人員が不足するのか、容易に中途採用できないレベルの管理職や技術者のうち、何人が第一線を離れているか、過去の退職率から推定すると毎年、何人の中堅社員(=管理職候補者)が退職するか、こうしたシミュレーションをすることで、いつまでに、どの部門・階層で何人を育成しなければならないかが見えるようになり、教育訓練の重点が明らかになります。ネットで画像検索すると多くの企業が自社の教育訓練体系を公開しているので参考にしてみるとよいでしょう。

教育訓練体系が出来上がると、示されたそれぞれの教育をどのような方法で実行していくかを定めます。教育訓練の方法・手法としては ①OJT ②OFF-JT ③自己啓発 ④プロジェクトチームや委員会といったチーム運営があります。

そして、教育訓練を実際に展開するため行われるのが研修です。
次のセクションでは、研修の手法について見ていきます。


教育訓練体系の打ち合わせをする社員たちの写真
活発な議論が実りのある教育訓練体系を生みだします



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研修の目的と種類・手法

教育訓練を進める際に大きな役割を果たすのが研修です。研修にはさまざまな目的と数多くの種類・手法があるので、大枠を理解しておくと研修を見直したり、企画する際に役立ちます。

まず研修の目的としては、①知識や技能の修得、②態度・行動変容の促進、③発想力・創造力・問題解決力といった能力の開発、④組織の開発・活性化などがあります。こうした目的を達成するための研修のテーマとしては以下のようなものがあります。

  • 役割認識、職務遂行力
  • 問題解決スキル、課題解決力
  • コミュニケーションスキル
  • 経営資源のマネジメント
  • 人事評価や目標管理制度
  • リーダーシップ
  • 組織開発やチーム活性化
  • キャリアデザイン、またはキャリア開発
  • 職種に関わる専門技術



研修の手法は、「座学」と「体験学習」の2つに大別されます。

座学は受講者が講師の講義・説明を聴いて理解する手法で、研修の基本スタイルと言えます。一度に多数の受講者を参加させることができ、短時間で多くの知識・情報を効率よく伝えることができます。その反面、①受講者が受け身になり集中力が続かない ②受講者の個人別の理解度がわからない ③講師の話し方の巧拙で理解度に差が生じる、といったマイナス面があります。

一方、体験学習は、いくつかの手法・種類に分類されます。現在の体験学習の研修で主流となっているのが「討議法」「ケーススタディ(事例研究法)」とよばれる手法です。これは実際の課題や現実に起こった問題を事例にして、受講者同士が議論をしながら問題を発見し、解決手法を探りながら、目的とする能力を身につけることを狙いにしています。受講者が中心となって研修が進むため集中力が持続しやすく、他者の意見や着眼点なども聴くことができ、新しい考えや視点を得やすくなります。また実務的な課題を解決する経験をすることで、職場での実践に活かすこともできます。

「討議法」や「ケーススタディ」には、課題がA4・1枚程度にまとめられた事例を用いる「小事例方式」や、問題の端緒・出来事(インシデント)だけが提示され、その後は受講者が講師から情報を引き出しながら議論を進めていく「インシデント・プロセス」があります。

「討議法」「ケーススタディ」以外の体験学習としては、参加者を少人数のグループに分け、グループごとに討議を行う「バズ・セッション」や、ゲーム形式を取り入れた「ゲームトレーニング」、お馴染みの「ロールプレイング」、自由にアイデアを出し合う「ブレイン・ストーミング」などがあります。

そして、最近注目を集めているのが「アクション・ラーニング」です。アクション・ラーニングは、受講者の一人が現場で生じている現実の問題を取り上げ、これを参加者全員で討議し解決を図るもので、個人と組織の成長の両方を同時に図ることを狙いにしています。議論にはアクションラーニング・コーチが参加し、議論を適切にリードします。

アクション・ラーニングが実際に効果を上げるには、アクションラーニング・コーチに高い質が求められるのはもちろんですが、受講者も組織の本当の重要課題を選び出す高い課題抽出力と、議論を通じて解決への道筋を見出す思考能力や概念形成力が求められます。









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