労働契約法・対策



新しい労働関係の法律、労働契約法が成立 
平成20年3月1日より施行


人事コンサルティング事務所
オフィス ジャスト アイ 制作
更新:平成20年6月27日

労働契約法とは

労働契約の成立や変更に関して、公正で透明なルールを定めた定めた法律のことです

そもそも労働契約とは、労働者が企業に労働力を提供することを約し、企業はその提供された労働力を受け取り、賃金を支払うことを約束するという契約です

しかし、これまで日本には、労働契約について体系的に定められた法律がありませでした。そのため産業構造の変化、人事管理の個別化・多様化、就業形態・就業意識の多様化に対し、十分な対応ができませんでした

そこで労働契約のあり方について、基本的なルールを定めた 労働契約法 を導入することになったのです


労働契約法が必要とされる背景

労働力を売買する労働契約は、企業と個人の間の私的な契約です。双方が自由に決めたり、話し合って変更するのが本来の姿です

しかし、企業と個人が契約を結ぶ時は、企業が圧倒的に有利な立場にあり、労働者は不利な労働契約を結ばされる恐れがあります

そこで国は私的な労働契約に介入し、労働基準法で労働条件の最低基準を定め、労働者に不利益となる労働条件を排除したり、使用者に是正を命じるようにしてきました

労働基準法は、過酷で、搾取的、劣悪な労働条件から労働者を保護してきたといえます。しかし、現在、こうした非人道的な労働条件はあまり見られなくなりました

それに代わり、就業形態・就業意識の多様化に伴い、労働基準法に定められていない諸問題を巡って、企業と個人間の紛争が増加しています

解雇、懲戒処分、昇進・降格、職務配置、人事異動、賃金体系の変更、非正規社員の雇用管理、M&Aによる転籍・出向などがその一例です

こうした労働条件の変更について法律的な定めがないため、企業・行政・専門家は過去の裁判の判例をもとにその妥当性を判断してきました

紛争解決の最終手段は裁判となり、時間的・費用的な面で会社・労働者双方にとって望ましい解決策とはいえませんでした

そこで労働契約に関する基本ルールを定めた労働契約法を導入することにより、人事労管理上の諸問題への対応が妥当か否かが明確になり、紛争を未然に防止することができます

また、紛争になっても裁判に至らず、迅速な解決が図られることが期待されています

平成19年11月28日、労働契約法は国会で可決、成立。平成20年3月1日から施行されていますです。以下に法律条文を掲示します






労働契約法

平成19年11月28日 可決成立

目次

第1章 総則(第1条−第5条)
第2章 労働契約の成立及び変更(第6条−第13条)
第3章 労働契約の継続及び終了(第14条−第16条)
第4章 期間の定めのある労働契約(第17条)
第5章 雑則(第18条・第19条)
附則  (省略)



第1章 総則

(目的)
第1条
この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則及び、その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする

(定義)
第2条
この法律において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう


2 この法律において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう


(労働契約の原則)
第3条
労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする

2 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする

3 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする

4 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない

5 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない

(労働契約の内容の理解の促進)
第4条
使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする

2 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする

(労働者の安全への配慮)
第5条
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする


第2章 労働契約の成立及び変更

(労働契約の成立)
第6条
労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する

第7条
労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的に労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない

(労働契約の内容の変更)
第8条
労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる

(就業規則による労働契約の内容の変更)
第9条
使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない

第10条
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない

(就業規則の変更に係る手続)
第11条
就業規則の変更の手続に関しては、労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条及び第90条の定めるところによる

(就業規則違反の労働契約)
第12条
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による

(法令及び労働協約と就業規則との関係)
第13条
就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第7条、第10条及び前条の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については、適用しない


第3章 労働契約の継続及び終了

(出向)
第14条
使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする

(懲戒)
第15条
使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする

(解雇)
第16条
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする


第4章 期間の定めのある労働契約

第17条
使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない

2 使用者は、期間の定めのある労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない


第5章 雑則

(船員に関する特例)
第18条 第12条及び前条の規定は、船員法(昭和22年法律第100号)の適用を受ける船員(次項において「船員」という。)に関しては、適用しない

2 船員に関しては、第7条中「第12条」とあるのは「船員法(昭和22年法律第100号)第100条」と、第10条中「第12条」とあるのは「船員法第100条」と、第11条中「労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条及び第90条」とあるのは「船員法第97条及び第98条」と、第13条中「前条」とあるのは「船員法第100条」とする

(適用除外)
第19条
この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない

2 この法律は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用しない



以上



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