人事労務管理と人材マネジメントに関する情報発信

昇進・昇格の仕組み



会社員にとって気になる事の一つに出世レースがある。かつてはこのレースから脱落した人は「窓際族」と呼ばれたものの、何とか雇用は維持された。だが、最近は追い出し部屋という部署へ異動になることもある。政府も労働移動に本腰を入れており、民間の転職支援会社への助成金も増額されることから、今後、会社員なら誰でもこれまで以上に出世を意識せざるを得ない。

会社員の出世を決めているのが人事管理における 昇進・昇格管理 だ。昇進と昇格は同じように解釈されているが、人事制度上は異なる扱いになる。昇格 とは、会社が職務遂行能力や職務上の役割など何らかの基準によって社員を数段階の等級に格付けしている場合に、この格付けを引き上げることを言う。昇格は定期的に行われる昇給を伴う人事上の処遇であり、過去の結果や成績、事実を基に決定される。

一方、昇進 とは、課長から部長へといったように会社組織上の役職が上位へ上がることを指す。事業運営の必要に応じて随時行われ、基本になるような制度やルールはない。また、過去の成績よりも新しい役職でどれだけ活躍できそうか、という期待度が大きなウェイトを占める。つまり、昇進は一部の社員だけが関係するが、昇格は全員に関わってくる。






昇格を決めるプロセスとは


昇格を決定する基本的なプロセスは、人事部門が該当者をリストアップし、上司が推薦の有無を判断する。そして、面接やペーパーテスト、論文提出などの試験を行い最終決裁される。昇格を決定する際に重視されるのは、過去数年間の人事評価歴、現在の等級での滞在年数、上司や部門責任者からの推薦、面接試験の結果などが中心になる。

昇格の種類には、同時昇格、時間差昇格、選抜、選別があり、一般的には格付けの等級によって適用される種類が異なる。新卒採用間もない下位等級では同期入社のほぼ全員が同じ時期に昇格する「同時昇格」が適用される。そして、中堅社員階層になるにつれ「時間差の昇格」が適用され、昇格に個人差がつき始める。こうした若年・中堅若手階層の昇格の運用は、現在の等級で必要とされる要件を満たせば自動的に上の等級へ昇格するという 卒業方式 が採用されることが多い。

管理職クラスへの昇格になると、同じ入社年次の一部の者だけを昇格させる「選抜」や、年次や時期を考慮せず昇格が決まる「選別」が行われる。この階層になると昇格対象者同士の相対比較が行われ、現在の等級で求められる要件を満たし、かつ上位の等級が求める要件を満たせると判断された者だけが昇格できるという 入学方式 が採用される。


昇りのエスカレーターのイラスト



日本企業の昇進・昇格の特徴とは


一般的に日本企業の昇進・昇格管理は、20歳代では昇格にあまり大きな差はつけず、全員を一定レベルまで引き上げることを重視する。そして20歳後半~30歳前半にかけて徐々に昇格に差をつけ始め、初級管理職や課長職へ昇進時期は35歳~40歳前後とされる。

会社での処遇を決定的にするキャリアの分岐点は管理職への昇格前後とされ、入社後15年前後になっている。これは他の欧米先進国が入社後3~5年で、その後の昇格対象者を絞り込んでしまうのにと比べると非常に遅い。これは日本企業が新卒の学生を採用し、実務経験を積ませながら時間をかけて人材を育成するためだ。

これに対し欧米企業は新卒の学生を採用することはまれで、採用時には求める職務や役割が決まっており、即戦力となる度合いを重視する。そのため採用後、数年でその人物がどの程度将来性があるかは判断がつく。日本企業の強さの特徴は個人技よりもチームワークとされるが、それは日本企業の昇進・昇格管理によって形成されている。


2014/12/8


【関連ページ】 降職と降格について

【参考ページ】 昇進・昇格に使える個人特性分析








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