管理職の最も大切な仕事は何かを考える
管理職にとっての理想とは、社員や部下がやる気に満ちて仕事に取り組み、会社や部署の業績が向上することだろう。そのための手法としてテレサ・アマビール(Teresa
M. Amabile)とスティーブン・クレイマー(Steven J. Kramer)という2人の学者が唱えるのが「インナーワークライフ(Inner Work Life)」を高めることだ。
「インナーワークライフ」とは、インナー=個人的・内面的、ワーク=仕事、ライフ=人生・体験という3つの単語から成る造語で、「個人的な職務経験」を指す。つまり管理職の最も重要な仕事は、部下やメンバーが豊かな職務経験を得られるようにすること、そして、充実した職経験を損なうような事態や状況を生じさせないようにすることである。
このインナーワークライフは「認識」と「感情」、そして「モチベーション」から成り立つ。「認識」とは日々の職場での出来事に対する受け止め方であり、「感情」はその時々で生じる肯定的あるいは否定的な思いであり、「モチベーション」は何をするか OR しないかを左右する原動力のことだ。
インナーワークライフはこれら3つの相互作用によって成り立つ。
インナーワークライフを高める方法
インナーワークライフを高める方法には、以下の3つがある。
- 部下やメンバーにとってのやりがいのある仕事を進捗させる
- 仕事への直接的なサポートを行う
- 人間関係に関わる支援をする
最高のインナーワークライフは、1のやりがいのある仕事がはかどり、2.周囲から直接的な支援が得られて、3.感情的・社会的な人間関係という繋がりがもたらされることで実現される。
この中で最も重要なのが1の「進捗」だ。管理職はメンバーに難局を打破するような突破口を見出させたり、目標の達成などを支援して、「小さな勝利」を体験させる。
そして2の仕事への直接的なサポートである、明確な目標の設定、自主性の尊重、リソースや充分な時間の提供、仕事の手助け、問題と成功からの学習、活発なアイデアの交換などを行う。
3の人間関係に関わる支援としては、相手に対する尊重、励まし、感情面でのサポート、友好関係の構築などがある。

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管理職も日誌をつけよう
管理職が社員や部下のインナーワークライフを高めるには、まず自らのインナーワークライフを向上させる取り組みが有効だ。そのためには仕事が終わった後に日誌をつけてみる。
「新入社員じゃあるまいし」と揶揄する人もいるだろうが、日誌を書く効果はあなどれない。その日に自分の身の回りで生じた出来事を振り返り、それらを文字にして記録することで状況が可視化される。翌日になると忘れ去られてしまう出来事が記憶に刻まれ、翌日以降の自分の行動の改善や対策につながる。
どういった出来事がインナーワークライフの向上あるいは低下に繋がったのかを記すことで、自らに生じたプラスとマイナスの要因に気づかされる。自らのインナーワークライフを向上させる取り組みによって、社員や部下のインナーワークライフを改善するマネジメントにつながる。
日誌のサンプルはこちら(PDF)
テレサ・アマビールとスティーブン・クレイマーも調査対象になった企業の管理職に、毎日、日誌をつけてもらい、それらの日誌を調べることによって今回の研究成果を得た。そして調査に協力した人たちの多くが、日誌を書くことの効果や重要性を感じ、こうした機会が得られたことに感謝をしたという。
単に日誌を書くだけで効果が実感できたのだから、インナーワークライフを意識した上で日誌を書けば、効果はさらに高まるだろう。
日本企業の問題点
インナーワークライフを高める最も重要な要素は、単に仕事が進捗するのではなく、やりがいのある仕事が進捗することだ。この「やりがいのある仕事」という点に注意する必要がある。実は日本では仕事にやりがいを持てない人の割合が諸外国に比べ非常に高い。
その原因は、日本の会社員にとって仕事は、会社から一方的に命じられるものという位置づけになっているためだ。日本企業では、定期的な人事異動があるような会社ほど、自分がどこで働き、何をするかは会社が決めるのが当たり前とされる。このため仕事は押しつけになりやすく、やりがいを感じられない人が多い。
それに対し、諸外国では自分がどんな仕事をするかは自分で決めるのが普通で、自分が好きな仕事や長年の経験が活かせる仕事に就いている人が多い。そのため自ずと仕事に自分なりの価値や意義を感じやすい。
最近は日本の会社も徐々に、諸外国と同じように「ジョブ型雇用」と、それに付随する「職務給」や「役割給」という賃金制度への転換を図るところが増えつつある。働く人が自分がどんな仕事をするのかを自分で決めるようになれば、仕事にやりがいを持てる人も増えるだろう。
2026/01/18
今回取り上げた詳しい調査結果は下記の書籍で解説されています。
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「マネージャーの最も大切な仕事」
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